ナカポツ便り―戸田所長に聞く「前編」

「はたらく」に寄り添う

京都障害者就業・生活支援センター(通称:なかぽつ)では、障がいのある方の「はたらく」を支える支援が日々行われています

本連載「なかぽつ通信」では、京都障害者就業・生活支援センター(通称:なかぽつ)の取り組みを【全三回】にわたってご紹介します。
【前編】では、現場の最前線で三十年間近く、支援を続ける戸田所長にインタビューを実施。「働きたい」という思いにどう寄り添い、どのように支援が行われているのか。安心して働き続けるために必要な視点をお届けします。

京都障害者就業・生活支援センター
戸田 所長

 センターが支援しているのは、「障がいのあるご本人」「雇用している(したい)企業」「福祉関係者・支援者」の三つの立場に関わる人たち。
 戸田所長は、「大切なのは、まず“本人の望み”に寄り添うこと」と話します。「希望する仕事と、現実にある仕事が一致しないこともある。そのギャップをどう埋めるか、一緒に考えるのが支援者の役割なんです」と。
 現在、センターには年間七千件以上の相談が寄せられます。特にここ数年は“これから働きたい”よりも、“今働いているけど困っている”といった定着に関する相談が急増しています。
 センターでは、働き続けるために学ぶセミナーを実施しているのですが、近年は、働くことに直接関係しない「余暇支援」にも力を入れています。「みなさん、一生懸命に働いておられるのですが、つい自分の世界に入りこみがちで、最近では、SNS詐欺などに巻き込まれる方も増えています。孤立しないこと、安心して交流できる場所を持っておくことがとても大切です。気分転換につながるような取り組みも積極的に計画しています」と戸田所長。
 生活が不安定な状態では、長く仕事を続けることも難しくなってしまいます。金銭管理や生活リズムの乱れ、相談相手の不在が、やがて職場での孤立やトラブルにもつながるからです。

 支援のゴールは「働き続けること」ですが、そのためには、段階的な成功体験と、それによって育まれる自己肯定感が欠かせません。しかし、そのプロセスは簡単ではなく、自己肯定感が低い状態で就活を始める方にとっては、なおさらです。
 ある利用者さんの場合、面談でのやりとり、実習先でのサポート、日常生活に寄り添う支援を積み重ねるなかで、徐々に自信を持って行動できるようになりました。
 やがてその方は企業に就職し、さらにこの春、正社員としての雇用にステップアップされました。
 また、企業向けのセミナーへの登壇依頼にも「やってみます」と手を挙げるまでに成長されたのです。
 「やはり段階を踏んで、少しずつ周囲から認められていくことで、本人の自己肯定感が高まっていくという、とても良い事例だと思います」と戸田所長。

 最後に、戸田所長はこう語ります。
「もう大丈夫だから」と、支援機関から距離を置こうとする方も少なくありません。でも、いつかまた支援が必要になることがあるかもしれません。だからこそ、細くても支援機関とのつながりを持ち続けていてほしいのです。いざという時にすぐ相談できる場所があるかどうかで、状況は大きく変わります。一度つながったご縁は、切らずにそっとつないでおいてください。
 「三年後、五年後に“誰に相談すればいいのか分からない”という状況を防ぐためにも、どこかに頼れる場所を残しておくことが大切です。どこの支援機関でも構いません。私たちでなくても、頼れるつながりを持っていてほしい」

 戸田所長のこの言葉には、長年現場に立ち続けてきた支援者としての、確信と願いが込められていました。

とある面接風景、
いつでも支援機関とのつながりを大切にしてほしい

京都障害者就業・生活支援センター

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